あぁジャズってのはどうしてこうとっつきづらいのだろう。
考えてみれば、街を歩けばどこのBGMにも採用されていて、誰もが当たり障りなく心地いいと思える素晴らしい音楽だ。
しかし専門的に聴いているリスナーは決して多いとは言えないのが現状ではないだろうか?
ジャズという音楽は好きなのだが、いかんせん何を聴けばいいのかわからない、という読者の方々も多いはず。
そこで今回紹介させていただくのは水口誠というジャズシンガーだ。
水口 誠 Makoto MINAKUCHI
1968年富山県富山市出身。駒澤大学で黒川桂吾氏に出会い、JIROKICHIのブルースセッションを知る。ブルースバンド活動を、音楽サークル「メモアール」で出会った、元世田谷ジャンボリーの川合拓郎氏らと開始、同時にブルースハープを独学で始める。
1993年「駒澤R&B同好会」を創始。
2005年、荻窪に、参加型ライブハウス「ルースターノースサイド」が誕生、毎週月曜日のサックスプレイヤー白庄司孝氏のブルースセッションに初回から参加。その後、同店水曜日のジャズセッションで日本を代表するジャズギタリスト、宮之上貴昭氏に出会い、ジャズに傾倒。
2007年「桜岡晋吾&ブラックチェリー」にボーカルとして参加、2008年6月、宮之上貴昭スーパートリオと共演。
いつも記事を書く場合と異なった順序で紹介させていただくがいきなり彼のCDを紹介させていただこう。
01. 浪人/MOANIN’
02. マリファナ、ばれた/MY FUNNY VALENTINE
03. 幹事/CANDY
04. 呑もう/NO MORE BLUES(Chega de Saudade)
05. 暗いね 君も(矢沢じゃなくて野沢)/FLY ME TO THE MOON
06. 牛丼の話題/YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS
07. 悩んで/NIGHT AND DAY
08. チクチク/CHEEK TO CHEEK
09. 新郎・新婦/WHISPER NOT
10. 月曜聞く、説教、チクチク/GET YOUR KICKS ON ROUTE 66
11. 吉祥寺/GEORGIA ON MY MIND
12. いつまでたってもペーペーだ~こおろぎ/IT’S ONLY A PAPER MOON~ALL OF ME
<Personnel>
水口誠(vo, harp)
マカオ(ts, fl)
殿様(g)
西村昭子(p)
矢野弦一(b)
沖田篤(ds)
KT01 (JAN 4582331580018)
CD
2010年2月27日(土)発売税込定価2,057円
また、ジャズシンガーのかたわら営業マンとして働く日々をユーモアを交えつつリアリティを込めて歌う『吉祥寺』や『 笑うしかないわあ 』は、サラリーマンをはじめとするリスナーに人気を得ている。
それなのになんとなく敷居が高く感じられてしまいがちなジャズを、少しでも親しみやすくしたい、彼は自身の音楽活動のテーマをそう語ってくれた。また、PARODY JAZZなんてアルバムタイトルをつけているが中身は濃密なジャズのアルバムだ。
バックの演奏陣も一流プレイヤー達である。
https://soundcloud.com/makoto-minakuchi
ジャズという音楽はブルースと同じルーツを持つ黒人音楽である。
黒人音楽というのは基本的には彼らのアメリカでの差別の中にあるネガティビティが背景にある音楽だ。
その歌詞はその鬱憤から生まれた激情を内包したものだ。
苦しみや辛さを燃料にしているしかしその辛さも一定度数を超えるとユーモアにすらなってくる。
つまりジャズの精神がしっかりと根底に流れているものなのだ。ふざけているようでどこまでも真剣。クラシックロックを同じような手法で広めようとしているアーティストに王様がいるが水口誠も彼と同じソウルを持った日本の音楽界に新たな風を吹き込ませるアーティストだろう。

もし彼らがタッグを組んだらなんてことを個人的は期待してしまったりする。
温故知新とはまさにこういったアーティストが表現するものを形容するのにふさわしい言葉だろう。