明るさ、切なさ、悲しさ、爽やかさ…感情が交錯する「ネガポジソング」の魅力について

ミュージシャンが音楽活動を行う上で重要視している一つに、音楽と歌詞を合わせた曲を聞いてもらうことで、リスナーに何かを感じて欲しいというものがあると思います。

アップテンポで楽しい内容の曲を聞いてもらうことで元気を出してもらいたい、または、自身の切ない恋愛体験のことをエモーショナルなメロディーに載せた曲を聞いてもらうことで体験を重ね合わせて大いに悲しんでもらいたい、そんな風に曲を作っているミュージシャンがほとんどだと思います。

この記事では、ポジティブな要素もネガティブな要素も両方併せ持った「ネガポジソング」の魅力を紹介したいと思います。聴くことでいろんな感情が渦巻く曲、聴く季節や状況に応じて意味が180度違って聞こえる曲、そんなネガポジソングはリスナーの胸に深く刻まれ、長い間愛される曲となり得るのです。

多くの人の心に届く曲を作りたいと思うミュージシャンに、ぜひとも参考にして欲しいと思います。

 

・Syrup16g “Reborn”

 

日本語ロックファンの中では知らない人はいないのではないかというぐらい人気の高いバンド、Syrup16g。独自の切り口から現代社会やそこに生きる人の苦悩を描いた歌詞の世界観が人気の秘密ですが、そのバンドの世界観を象徴するような名曲が”Reborn”です。

ある2日間を比較して、後の方がいい日に決まってると歌い、一見ポジティブに思える歌詞ですが、比較している2日間は今日と明日ではなく、昨日と今日という後ろ向きなチョイス。そして希望というよりは諦めに近い角度で物事を見る主人公の心情が描かれた歌詞は、多くの若者の共感を誘いました。

のちにMr.Childrenのボーカル、桜井和寿がbank bandでカバーして有名になりましたが、正直、そのカバーはポジティブな面のみが全面に押し出されていて、この曲本来の魅力を十分に引き出せているとは言えませんでした。そのことからも、「ネガポジ」なエッセンスが曲の魅力であることがわかる名曲です。

 

 

・The Wonder Years “My Last Semester”

 

曖昧な表現が魅力の日本語詞に比べると、直球で直接的な表現が魅力というイメージの強い英語詞ですが、海外のミュージシャンの曲にもたくさんの「ネガポジソング」が存在してます。海外のネガポジソングとして紹介するのは、この曲が収録されたアルバムでそれまでのバンドシーンの詞の世界観を180度変えたといっても過言ではない、The Wonder Yearsというポップパンクバンドの”My Last Semester”という曲です。

「もう悲しくなんてない」というフレーズがキーワードとなるこの曲は、大学生活を過ごす主人公が歌った曲。しかしその実態は、キャンパスライフを満喫する多くの人には溶け込めず、自分の居場所をわからないでいる主人公なんです。そしてそれをごまかすようにして、「もう悲しくなんてない」と歌うのです。

アルバム全体を通して聴くことで、最後には自分の居場所を見つけた主人公の姿が描かれているので、もう一度この曲を聴くと、その時にはとってもポジティブな意味に聞こえます。そうやって、聴くタイミングによって、また聴くときの自分の心情によって、聞こえる歌詞の意味が変わる、そんな魅力的な「ネガポジソング」です。

 

・The Get Up Kids “Holiday”

上記2曲はいずれも歌詞の内容がポジティブにもネガティブにも取れるといった種類の「ネガポジソング」でしたが、最後に紹介するのはちょっと一味違うタイプの「ネガポジソング」になります。一般的に切ない内容を歌うバンドとして知られるThe Get Up Kidsを代表する曲なんですが、その内容を知らずに聞くと、とっても小気味の良い軽やかなポップソングなんです。

しかし、そこに歌われているのは男女の別れ。「おやすみやさいの一言が最後の別れの挨拶になること」を歌ったサビでは、失恋の経験がある誰もが切ない気持ちで胸がきゅんきゅんと締め付けられるような名曲です。ただ、曲調がとてもポップなので、その別れの経験もとても爽やかなもののように感じられるという「ネガポジソング」です。

 

 

いかがでしたか。ポジティブの押し付けや、引くほどのネガティブは、ガツンとハマればリスナーの共感を得られる一方で、若干暑苦しいと思われることもあるようです。それを避けたいと思うミュージシャンは、上に紹介したような「ネガポジソング」を作ることを心がけてはいかがでしょうか。

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